
おはようございます。たぬきです。
突然ですが、私は吉良吉影が大好きです。
ジョジョの奇妙な冒険 第4部に登場する、あの静かに暮らしたい殺人鬼。
彼の佇まいや思想、生き方がなぜこんなにも心に残るのか、その答えを探すように、私は荒木飛呂彦先生の著書『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』を読みました。
読後、ようやく気づいたのです。
彼の魅力は、キャラクターが「ぶれていない」からなのだと。
漫画の「四大構造」とキャラクターのぶれなさ
荒木先生は、漫画の構造を「キャラクター」「ストーリー」「世界観」「テーマ」の四つに分けています。
その中でも一番大切なのは「キャラクター」。
キャラクターがしっかりしていれば、物語は自然に進み、世界観にも説得力が生まれます。
キャラが“生きている”からこそ、読者はその世界を信じるのです。
本の中で紹介されていた「身上調査書」は、キャラクターを掘り下げるためのツール。
家族構成や趣味、特技、習慣、幼児・少年期の精神的体験、恐怖、人間関係・態度など細かく設定する。
まるで履歴書を作るように、キャラの人生を設計していく。
吉良吉影も、そうして生まれた存在だったのでしょう。
静かに暮らしたいという彼の一貫した欲望は、物語を通じて決してぶれることがありません。
ちなみに重要なキャラクターほど早く設定していくということです。そうですよね。
ストーリーとテーマは「一貫性」によって動き出す
「ストーリーはいつも同じ方向に進まなければならない」
「テーマがあるから迷わない」
この言葉に、私は深くうなずきました。
荒木先生にとって、テーマとは創作における「北極星」のようなものなのでしょう。
迷ったときにはそこに戻ればいい。だから作品はぶれない。
本の中では映画『ローマの休日』を例に挙げ、そこに込められた政治的なテーマ(アメリカの赤狩りへの抵抗)まで解説されています。
一見、ロマンス映画のように見えて、実はものすごく「主張」がある。
それに気づいたとき、私はこう思いました。
教養のある作り手は、時代と向き合いながら作品を生むのだなと。
漫画がもっと楽しくなる「読み方」
この本を読んだ後、私は漫画の読み方が少し変わりました。
キャラの言動、コマの運び、セリフの間――。
すべてが作者の「意図」や「技術」によって組み立てられている。
コマ割り一つにも意味があり、間の取り方にも演出の意図がある。
そう思いながらページをめくると、まるで演劇を観ているかのような奥行きが感じられます。
そして、悪役がどれだけ物語を引っ張る存在か、改めて実感しました。
悪役は「敵」ではなく、「物語のエンジン」。
その存在が鮮やかであればあるほど、主人公もまた輝くのです。
カッコいい悪役は、物語を深くする
吉良吉影がなぜこれほどまでに魅力的なのか。
それは、彼自身が「普通」というテーマを体現しながら、狂気を秘めた生き物として、徹底的に描かれているから。
キャラクターがぶれず、テーマがぶれないから、私たちは彼を信じ、惹かれてしまう。
そして私は、またジョジョを読みたくなりました。
ページの隅々にまで、荒木先生の哲学が詰まっていることに気づいたから。
おわりに
この本は、ただの創作論ではありませんでした。
キャラクターを作るとはどういうことか。
「伝える」ためには何が必要なのか。
その本質を、読者である私に優しく、しかし熱く語りかけてくれる一冊でした。
カッコいい悪役、やっぱり大事ですね。
彼らがいるから、私たちは物語に深く浸ることができるのです。
最後までお付き合いいただき、有難うございました。

