
こんにちは、たぬきです。最近読書していますか?私はしていますが、前より読む量が減りました。この本を読み、少し持ち直してきています。そんな2024年のベストセラー新書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』について今日はお話ししようと思います。
タイトルの背景と著者の動機
この挑発的なタイトルは、映画『花束みたいな恋をした』で主人公が「働きはじめてから本が読めなくなった」と語るシーンから生まれたそうです。著者・三宅香帆さん自身、兼業生活の中で同じ感覚を味わい、そこから「なぜ?」を突き詰めることが出発点になったといいます。
私自身も本が好きだと思っていましたが、最近は読む量がぐんと減っているのに、スマホはつい触ってしまう。この矛盾に気づき、まさに自分事としてページをめくりました。
「ノイズ」と読書の関係
著者は「ノイズ」という言葉をポジティブに使っています。本に含まれる歴史や文脈、他者の視点――SNSや要約記事が切り落としてしまう余白こそが、人を豊かにする力だと。
一方で、現代社会は効率や結論を重視しすぎて、この「ノイズ」を邪魔なものとして排除してしまう傾向にあるのです。
私も思い返せば、昔は「遠回りに思える一文」に心を動かされたり、背景を調べてみたくなったりしたことが多かった。でも今は「要点は?」と急ぎすぎてしまう。読書に必要な余裕を自ら失っているのだと感じました。
労働と読書文化の変遷
本書の大きな魅力は、明治から現代までの読書史を労働史と重ねて見せてくれるところです。
戦前は階級ごとの読書の違いが色濃く、戦後は通勤と文庫本文化が花開き、そして90年代以降は自己啓発書のブームと共に「効率的で即効性のある読書」が主流になった。
この分析がとても面白く、特に70年代以降の章は「懐かしい!」と感じながら読み進めました。
「全身全霊」から「半身社会」へ
著者が提案するのは「全身全霊で働かない」生き方です。すべてに全力を注いでしまうから、本を読む余裕がなくなる。むしろ「半身」で働き、余白を持ってこそ文化や読書が息づく――この視点には強く共感しました。
もっと“ゆるっと生きる社会”があってもいい。そんな思いが胸に広がります。
この本を読んで、私は今まで以上に「働き方」について考えるようになりました。教員こそたくさんの本を読んでほしい。しかし、初任者研修で接する今の若い教員は「本は好きですが、今はなかなか読む余裕がなくて」と皆同じことを言います。朝の読書での10分間がギリギリの読書時間のようです。もっとゆとりのある働き方のできる社会にしたい!その想いは作者も私も同じです。
感想
この本、ささりました。自分でも本好きのつもりでしたが、確かに読む時間が減ったのは「気力の余白」がなくなったからなんだと納得しました。
読書を楽しむために、退職を早めてもいいかな――そんな冗談まじりの気持ちにさえさせられる一冊でした。また「あとがき」の「働きながら本を読むコツをお伝えします」も良かったです。「自分と趣味の合う読書アカウントをSNSでフォローする」という最初のコツ。これは前からやっていましたが、意識的に増やしました。本の情報が飛び込んできるだけでも刺激になります。
最後に
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、単なる読書術の本ではありません。労働、文化、そして「生き方」を問う本でした。読書が人生にとってどんな位置を占めるのかを見直すきっかけになる一冊です。
スマホから手を離して、ちょっと本に手を伸ばしてみる。そんな行為が実は自己肯定感を高めたり、ウェルビーイングに繋がったりもするのです。
読書を楽しむ心のゆとりを取り戻しましょう。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

