
書店でこの本のタイトルを目にしたとき、
思わず「えっ」と思ってしまいました。
『がっこうはじごく』。
きっと、学校を嫌いだった生徒の回想なのかな?――
そんな予想をあっさり裏切ってくれるのが、この本の魅力です。
著者の堀静香さんは、学校が「好き」ではない。
にもかかわらず、非常勤講師という立場で、
ずっと学校という場所に関わり続けている歌人です。
この設定だけでも、十分に「読む価値がある」と思えるほどに、
教育という営みの「盲点」にそっと光を当ててくれています。
「好きじゃないのに、なぜ続けるのか」
この問いに対する明確な答えは、
この本のどこにもはっきりとは書かれていません。
でも、読んでいると自然に伝わってきます。
「学校がしんどい生徒がいるように、先生だってしんどいことがある」
「それでも、その中に何か大切なものがあると感じてしまうから、離れきれない」
そんな、一種の矛盾を抱えた誠実さがにじんでいるのです。
いろんな生徒がいるなら、いろんな先生がいていい
「学校が好きでたまらなくて教師になった人間だけの学校」って、
きっと空気がぎゅうっと重たくなってしまう気がします。
- 授業が好きじゃない生徒
- 学校という空間が苦手な生徒
- あるいは、がんばりたいけど、がんばりきれない生徒
そんな子たちの「逃げ場」になるのは、実は、教える側に「余白」を持つ先生なのではないかと、私は思います。
正規教員として30年以上教えてきた中で
私もいろんな学校を経験してきました。実業高校、進学校、定時制、また進学校。今また実業高校へと環境が変わり、韻文や創作の授業が増えた今、改めて感じる「教育の自由さ」と「多様さ」。
それは、単に教える内容が変わったということではなく、
「この子にとって必要なことは何か?」と問い続ける自分の姿勢そのものだと思います。
そして、私は思うのです。
「それでも生徒に逃げ場は作ってあげたい。図書館の仕事をしているのもその一つ。」
図書室という「静かで自由な場所」を、
あえて開けておくということ。
それは、「来なさい」という強制ではなく、
「ここにいてもいいよ」という肯定。
学校の中にある、もうひとつの“やさしい余白を、
私が日々つくっていることが、
この本と見事に響き合っていたらいいな、と思います。
📌たぬき的・心に残ったこと
- 「好きじゃない」という正直さを否定しない、堀さんの誠実なまなざし
- 教師像の多様さが、教育の豊かさに直結している
- 正規でも非常勤でも、「生徒に向き合う姿勢」に上下はない
- 図書館という“見えにくい支援の場”の大切さ
📖あとがきのような、たぬきのひとこと
私は、たぶん「学校の中にいる側の人間」だと思います。
でも、そこにどっぷり染まりすぎないように、つねに一歩引いて見つめる感覚を、この本にあらためて教えられました。
学校が楽しい生徒もいれば、
苦しいと感じている生徒もいる。
そのどちらの心にも、そっと寄り添えるような“余白のある大人”でありたい。
そして、私自身がそうだったように、
学校を好きじゃなかった子が、何十年後に教育の意味を見つけることもある。
それを信じて、これからも生徒と向き合っていきたいと思いました。
たぬき文庫のよりみち帖、
今日は学校という場所とどう向き合い続けるかを静かに考えさせてくれる一冊をご紹介しました📘🏫
また心がそっと動いた本と出会えたら、ここで綴っていきますね。
最後まで読んでくださってありがとうございました😊

