
こんばんは。週明けでなんだか疲れてしまっているたぬきです。なんかいっつも疲れていますね。今日は懐かしさを感じる小説をおすすめしようと思います。
小学校の頃の帰りの音楽

タイトルを見た瞬間に、心がきゅっと音を立てました。
『ドヴォルザークに染まるころ』。
懐かしさと哀しさと、優しさがにじむような名前。
私が小学生だったころ、帰りの音楽として流れていたのは、ドヴォルザークの『家路』。
あのメロディーが学校の中に静かに流れていた時間。
今でも、胸の奥にそっと残っている気がします。
そんな記憶に手を引かれるように、この小説を手に取りました。
物語の舞台は、廃校になる小学校。
小さな村で、ひとつの時代の終わりとともに、人々の記憶も整理されていく。
連作短編集という形式は、私はけっこう好きなのですが、
今回は、最初に登場人物が多すぎて何が何やら…。
でも、少しずつ読むうちに、それぞれの人生が線でつながり、場所と人の関係が浮かび上がってきて、やがて「物語」が見えてきた気がしました。
九州の閉鎖的な環境
ただ、この作品が優しいだけの小説かというと、全然そんなことはありません。
むしろ、読んでいて何度も「息苦しさ」を感じる場面がありました。
狭い村社会、
性差による役割の押しつけ、
誰かが決めた“あたりまえ”に、ただ従って生きてきた人たち。
読んでいて、ふと私は思いました。
「九州ってここまで酷かったっけ?」と。
でもそれは、私が「知らないで済んでいた」だけなのかもしれない。
今と同じ時代のはずなのに、
読んでいるうちにどこか「昔話」のようにも感じて、
逆に「今も変わっていないのでは」とぞっとする瞬間もありました。
そんな中でも、私が一番好きだったのは、田中先生。
退職してもなお、ぶれない強さと、子どもたちへのまっすぐな眼差し。
「こういう大人がいてくれたら」と思わせてくれる存在でした。
年齢を重ねても、
やさしさと信念を持って社会と関われる――
こんな女性でいたい。
読みながら、自然とそんな願いが浮かびました。
登場人物の中では、女性たちには共感できる人が多かったのに対して、
男性陣はもう…潔いほどクズばかり。
もちろん全員ではないけれど、
「わかりやすい悪人」というより、「自分本位に正しさを押しつける人」が多くて、
そのリアルさに、ちょっと背筋が冷えるような思いもしました。
それでも、この小説は単に「嫌な人が出てくる話」ではありません。
物語が終盤に近づくにつれて、“自分を大切にする”ということが、
じんわりとにじみ出てきます。
そしてもうひとつ。
「逃げたら、好き勝手言われる。」
この一言は、たぶん、読んだ人の心に深く刺さると思います。
でも、それでも――
逃げることが、救いにつながることもある。
だからこそ、「逃げる=悪」ではないことも、
この作品はちゃんと描いてくれているように思いました。
📌 たぬき的・心に残ったこと
- 『家路』の旋律とリンクする、ノスタルジーと再生の物語
- 田中先生のような大人がいるだけで、物語の救いになる
- 女性たちのしなやかな強さと、静かな怒り
- 小さな村の中で、静かに抗う人の姿
- 「誰かにどう言われようと、自分の選択を肯定する強さ」
📖あとがきのような、たぬきのひとこと
きれいなだけじゃない。
でも、汚すだけでもない。
この物語には、生きることの「めんどくささと希望」が、静かに並んでいます。
ドヴォルザークの『家路』がそうであるように、
どこか切なくて、でも必ず“帰れる場所”があるような――
そんな物語でした。
そして私も、心の中で「家路」をそっと口ずさみながら、
もう一度この本を開いてみたくなっています。
たぬき文庫のよりみち帖、
今日は「懐かしさの中にある、静かな強さ」を綴った一冊をご紹介しました🎼📖
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
また、胸にふと残る物語と出会えたら、ここで綴っていきますね😊

