静かな余韻📚『下に見る人』(酒井順子)――「比べない」って、こんなにも難しい。

こんばんは。今日も本の紹介をさせてください。

このタイトルを見たとき、私は思わずページを開きながら少し身構えてしまいました。
『下に見る人』。
ストレートで、どこか痛みを伴う言葉です。

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でも著者は酒井順子さん
そう聞くだけで、「これは単なる皮肉本ではないぞ」と思わせてくれる信頼感があります。


「みんな一緒」に見えて、実はそうじゃない

この本を読んで、まず思い出したのは、
平成という時代を通して、学校教育からあからさまな競争が消えていったことです。

たとえば昔は当たり前だった「テストの順位張り出し」

今ではすっかり見かけなくなり、
一見、みんなが「平等に」扱われているように見えます。

でも――
本当にそうでしょうか?


酒井さんは言います。

「世の中をざっくり上下に分けた時、その境界線にいる人ほど『他者を下に見たい』という欲求は強くなる。」

『下にみる人』酒井順子

この言葉に、私は思わず唸ってしまいました。

明確な「勝ち・負け」「上・下」を決めるものが表になくなると、
人は自分で“線引き”を始めるのかもしれません。

  • 学歴で
  • 家柄で
  • SNSのフォロワー数で
  • 子どもの出来不出来で
  • そして、ちょっとした言動で

誰かを自分より下に設定することで、
ほんの一瞬、安心したくなる心。

この本は、そんな人間のささやかな見栄や不安を、
ときにユーモラスに、ときに鋭く、でも決して嘲笑せずに描いています。


「金持ち喧嘩せず」という言葉

「金持ち喧嘩せず」と言いますが、本当に満たされている人は、他人を下に見ようとはしません。自分の位置に不安がないから、他者に優しくできるのでしょう。

では、自分はどうだろう?
そう思いながら読み進めるうちに、
この本は「誰かを笑う」本ではなく、「自分を省みる」本なのだと気づかされました。


📌 たぬき的・心に残ったポイント

  • 「見えにくい格差」が、実は人の心を一番ざわつかせる
  • 批判でなく、観察で社会を見る酒井さんの視点が心地いい
  • 「自分も、無意識に誰かを比べてるかも」とハッとさせられる
  • 「下に見る」ことは、優越感ではなく、不安の裏返しなのだという示唆

📖あとがきのような、たぬきのひとこと

この本を読んで、
「誰かを下に見たい」気持ちって、きっと誰の中にも少しはあって、
でもそれをどう扱うかが、たぶん大切なんだなと思いました。

人間だから、つい比べてしまう。
でも、比べなくてもいいところでは、
そっと手を離せる自分でいたい。

やさしく生きるって、決して楽なことじゃない。
それでも、そうありたいと願うことが、
たぶん「人間らしさ」なんだと思います。


たぬき文庫のよりみち帖、
今日は自分の中にある「上と下の境界線」にそっと目を向ける一冊をご紹介しました📘🪞

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
また「ちょっと立ち止まって考えたい本」と出会えたら、ここで綴っていきますね😊

プロフィール
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たぬき

こんにちは、たぬきです。
高校で国語を教えながら、学校図書館の運営もしています。
本のこと、野球のこと、ゲームのこと…
気の向くままに、よりみちしながら綴っています。📕
ふらっと立ち寄ってもらえたらうれしいです。🌱

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