
こんばんは、たぬきです。今日は少し前に読んだこの本を紹介します。はじめて読んだ金原ひとみさん。正直、もっと早く読んでおけばよかったと後悔しました。
『蛇にピアス』論争があったとき、私は図書館にいて、話題だけは耳にしていたのに、なぜか手を出せなかった。若い頃に読んでいたら、もっと衝撃を受けたのかもしれません。
でも今このタイミングで読んだからこそ、怖さの中に、妙なリアルさを感じた気もします。
「死ぬことを忘れるくらい」――でも、私は「怖くて面白い」だった
山本文緒さんがエッセイで「死ぬことを忘れるくらい面白い」と書いていたのを見て、なんとなく読んでみたくなったこの本。
でも、読み始めてすぐに思いました。これは、「面白い」というより、「怖い」。特に「ストロングゼロ」は、最初から最後まで怖かったです。
「私もお酒は好きだけど」だからこそ、わかる恐怖
私はお酒が嫌いではないけれど、すぐに顔が赤くなってしまうし、そんなに強くない。年齢もあって、今はだいぶ節制しています。飲むとすぐにバレるし、翌日がしんどい。
だからこそ、あの主人公が毎日大量に飲んでいて、それなのに誰にも気づかれていないように見えるという描写に違和感を覚えました。
きっと、まわりは気づいている。でも見て見ぬふりをしている。そしてそれは、この本の怖さそのものでもあるのかもしれません。
「バレてないと思ってるけど、バレてるよ」それが一番ゾッとする真実だと感じました。
アイスコーヒーに「ストロングゼロ」を入れて、昼間に素知らぬ顔で飲む。
やってみたい。でも、絶対にやらない。
この本に出てくる描写は、どこかで「自分にもありうるかも」と思ってしまうような誘惑と地続きです。だから読んでいて、苦しくなる。それでもページをめくってしまう。
依存する5人の主人公たち
5つの短編の主人公たちは、それぞれ違うものに依存しています。
- アルコール
- 整形
- セックス
- SNSの自己承認
- そして、人間関係そのもの
「やっちゃダメだよ」「行っちゃダメ」と思いながらも、進んでしまう怖さ。その先にあるのは、快楽なのか、絶望なのか。
どちらにしても、思うように生きられない歯痒さが共通しています。
後半はコロナ禍の風景、いま読むと“懐かしい”
最後の2篇は、コロナ禍の世界が舞台。
あの混乱、あの息苦しさ。
今読むと少し懐かしくもあり、「そうだったな…」と静かに思い返しました。最後の短編なんて、ほんの数年前の出来事なのに、もうひと昔前のような気がします。でもそこにも、他者との距離や孤独、見えない苛立ちや疑心がしっかり描かれていて、あの時期を生きた読者ならきっと、なにかしら思い出してしまうんじゃないでしょうか。
📌 たぬき的・ぐっときたポイント
- 「依存」がどこか身近に思えてしまう描写のリアルさ
- ストロングゼロとアイスコーヒーの話が妙に頭に残る
- 「バレていないと思っていることは、実はバレてる」――この視点が怖い
- コロナ禍の描写が、生々しくて懐かしい
- 「面白い」と言ってしまっていいのか戸惑うほど、心に残る一冊
📖あとがきのような、たぬきのひとこと
この本を読んでいると、「これは自分には関係ない」と言い切れない、じわじわとこちら側ににじみ寄ってくるような怖さがありました。
「依存」とは無縁のつもりでも、ほんの少しのきっかけで、誰だってそちら側に落ちてしまうかもしれない。そのことに気づかされる作品です。
山本文緒さんの「死ぬことを忘れるくらい面白い」も、今なら少しだけわかる気がします。
今日は金原ひとみさんの『アンソーシャルディスタンス』から、「怖いのに読まずにいられない本」の記録をそっと残しました📘
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
落ち込んでいるときにはちょっときついかもしれないけど、元気なときに読むと、自分を見直すきっかけになるかもしれません。

